書店情報
書店主導の様変わりする著者サイン会
書店での本の売り上げが減少するなかで、著者サイン会も様変わりしています。これまでのように出版社が主導するサイン会ではなく、書店に足を運んでもらうためのひとつの施策として書店主導のサイン会を開催する動きが出てきています。
時代とともに変化するサイン会

新刊書の発売にあわせて出版社が主導して行ってきた著者のサイン会。書店での本の売り上げが減少するなかで、著者サイン会の位置づけが大きく変わっています。
これまでは、出版社が主導して行ってきたため、規模の大きな書店においても、イベントのある月とない月でバラつきがありました。しかし、現在の著者サイン会では、書店に足を運んでもらう施策のひとつとして、書店主導型の著者サイン会が増えてきています。
精力的に活動する「青山ブックセンター」

そのなかでも、精力的にイベントをしかけているのが「青山ブックセンター」です。青山ブックセンターの客層は、デザイナーやクリエイターをはじめ、広告代理店や制作会社などで仕事をしているお客さまが多いため、平日の日中には来店が多いものの、休日である土日の来店の落ち込みが激しいといった状況がありました。そこで、休日にもお店に足を運んでもらうため、各店舗で土日に必ずイベントを開催しています。
青山ブックセンターの本店である青山店では、イベントを行うと100~150人規模でお客さまが集まります。イベントをはじめた頃は、なかなか集客できず苦しい時期もありましたが、現在はこのイベントの開催が書店運営の柱となり、売り上げも4、5%ずつ売り上げを伸ばしているといいます。
進化する書店のイベント

24時間営業するオンライン書店の勢いに押されているイメージのあるリアル書店ですが、青山ブックセンターでは、リアル書店にこだわりを持ち、リアル書店でしか味わうことのできない感動と出会いの場を追求してきました。このような活動のなかで生まれたのが、本屋がつくる学びの場「青山ブックスクール」です。このスクールは、人気のある著者やクリエイターから学ぶことができる講座や、その時々の旬な話題のセミナーやワークショップを開催しています。
著者にとっては、本で言い尽くせなかったことを直接、読者に伝えることができる貴重な場であり、読者にとっても、本人から直接学ぶことができる貴重な場所となっています。
書店は、人と人をつなぐ場所へ

このような動きは、全国各地でも広がっています。書店に足を運んでもらうきっかけとして、ビジネス本などを中心に書店が主導で著者を招いたセミナーやワークショップが開催されています。また、書籍に関するフェアや写真展などのイベントなども盛んに行われるようになりました。
オンライン書店とリアル書店の大きな違いは、人と人が直接、出会うことができるということです。書店はいま、本との出会いの枠を超えて人と人をつなぐ新たな場所へと進化しています。